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野口宇宙飛行士訓練レポート 第4回
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| STS-114クルーによる宇宙食試食会 （写真提供：NASA.JAXA） |
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今月はクルーがとても楽しみにしていた「訓練」がありました。それは宇宙食の試食会、Space Food Tastingです。宇宙飛行士が食べる宇宙食は、栄養バランスやカロリーを考慮して一日三度の食事メニューが組まれますが、その際各自の好みも十分に配慮されます。食事時間は忙しい宇宙飛行士のスケジュールの中でリラックスできる数少ない時間なので、飛行士が好きなものを食べられるように工夫されているのです。
スペースシャトルや国際宇宙ステーションには食糧用の冷蔵庫がないので、宇宙食は長期間保存できることが必要です。また、微小重力でも食べやすく、かつ飛び散って周りの機材を汚さないように配慮されています。クラッカーひとつとっても、飛び散る恐れのある粉を取り除いたり、汁気のあるものは粘り気を出してスプーンにくっつきやすくしたり、様々な工夫がされているのです。
宇宙食は大きく分けて3種類の製造方法（保存方法）があります。ひとつ目はフリーズドライという製法で、水を加えてもどすことで食べられます。ふたつ目は日本のカレーなどでおなじみのレトルトパックを使用する方法で、オーブンで加熱するだけで食べることができます。三つ目はチョコレートやパンなど、特に処理を必要としないが保存期間に制限があるもので、ナチュラルフォームと呼ばれています。
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| 宇宙食の例 （写真提供：NASA） |
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現在NASAの宇宙食は全部で約200種類もあり、国際宇宙ステーション時代にむけて外国の食材も積極的に取り入れてきています。今回の試食会ではその200種類の中から、新メニューを中心に50種類程度の食品を試食しました。その一部を、私の独断的？なコメントとともに紹介しましょう。
- メキシカンスクランブルエッグ：スパイシーでなかなかいけました。
- ガンボスープ：テキサスではおなじみのどろっとしたスープ。オクラやお米も入ってます。
- ビーフエンチラダス：代表的なメキシカンフードも宇宙で食べられます。
- チキンサラダ：チキンと温野菜のとりあわせでヘルシー。
- 野菜リゾット：ベジタリアンにはお薦め。あまり脂っこくありません。
- ラザニア：イタリア料理ももちろんあります。肉入りでおいしかったです。
- 炒め豆腐：豆腐はいまや国際的なヘルシーフード。でも日本で食べる豆腐が一番美味しい？
- 照り焼きチキン：豆腐同様、Teriyakiもアメリカで人気の味です。なかなかおいしい。
いかがですか？意外に多様なメニューがあることに驚かれたのではないでしょうか。宇宙食の種類は飛行士の好みや新しい食材を取り入れてまだまだ数が増えるようですから、何年か先にはファミリーレストランと同じ位のメニューが揃うかも知れませんね。
日本の味を宇宙で； 日本からの宇宙食提案
今回の試食会ではもうひとつ変わった試みがありました。近い将来、日本人宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに滞在することが予想されますが、そのための準備として、日本にあるインスタント食品から宇宙食にふさわしいものを数点出品して、クルーに試食してもらったのです。
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| 宇宙でカレーを食べる第4次長期滞在クルーとSTS-110のクルー （写真提供：NASA） |
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この日試食したものは日本茶（煎茶、抹茶）、粉末スープ、インスタントラーメン、うなぎ蒲焼、カレーライス、そしてデザートとして羊羹とチョコレート菓子でした。あまり日本食に縁がなかったクルーもいましたが、カレーライスを始めおおむね日本食は好評で、宇宙ステーションに長期滞在しているクルーの分も持っていこうという話が出たほどでした。（実は昨年12月から今年6月まで宇宙ステーションに滞在していた第4次クルーはカレーライスが好きで、わざわざリクエストを出して補給ミッションで宇宙ステーションにインスタントカレーを運んでもらったそうです）。
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| 宇宙ではどんな味？ |
このうちインスタントラーメンは、宇宙開発事業団（現宇宙航空研究開発機構）が「きぼう」日本実験棟の積極的な利用を目指して募集した「きぼう利用フィジビリティスタディ」の提案から生まれたものです。パッキングに少し改善の余地があるものの、クルーの評価はなかなか高かったです。STS-114ミッションでは史上初めて、宇宙でのラーメン体験をするつもりです。微小重力でもちゃんと麺がもどるのか、スープと麺がうまく絡むのか、そして肝心の味は？ ぜひ宇宙ステーションからの報告をご期待下さい！