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STS-114ミッションとは ミッション内容やスケジュール、船外活動についてお伝えします。
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ミッション結果の要約

最終更新日:2005年9月1日

実施状況および結果  ミッション概要  野口宇宙飛行士の活躍  主な不具合など

実施状況および結果

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ミッション終了後のISS(8月6日撮影)

STS-114ミッションでは、スペースシャトルの打上げを再開し安全対策の確認、軌道上での修理技術試験を行うと共に、ISSの姿勢制御を行うコントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)1基の交換や船外保管プラットフォーム2(ESP-2)の取り付けを行い、食糧・消耗品などの物資を補給しました。
このミッションで3回の船外活動を行った野口聡一宇宙飛行士の働きは、NASAからも高く評価されています。

主要イベント実績
実施日時(日本時間) 主要イベント
7月26日午後11時39分 打上げ
7月26日午後11時47分 メインエンジン(SSME)燃焼終了
7月27日午前0時18分 軌道投入終了(第2回軌道制御噴射終了)
7月27日午前1時10分 カーゴベイ(貨物室)オープン
7月27日午後5時28分 Kuバンドアンテナ展開
7月27日午後6時4分頃 熱防護システム(TPS)検査
7月28日午後8時18分 ISSとドッキング
7月30日午後6時46分 第1回船外活動開始
7月31日午前1時36分 第1回船外活動終了
7月31日午後9時25分 米国広報イベント
8月1日午後5時41分 第2回船外活動開始
8月2日午前0時55分 第2回船外活動終了
8月2日午後6時59分 軌道上共同記者会見
8月3日午後5時48分 第3回船外活動開始
8月3日午後11時49分 第3回船外活動終了
8月4日午後6時20分 JAXA広報イベント(VIPコール)
8月6日午後4時24分 ISSから分離
8月7日午後5時6分 クルー全員による広報イベント
8月8日午後10時27分 Kuバンドアンテナ収納
8月9日午後8時6分 軌道離脱噴射
8月9日午後9時11分 着陸

 

ミッション概要

ミッションの概要は以下のとおりです。

打上げと帰還日時

打上げ日時 2005年7月26日午後11時39分(日本時間)
2005年7月26日午前10時39分(米国東部夏時間)
帰還日時 2005年8月9日午後9時11分(日本時間)
2005年8月9日午前8時11分(米国東部夏時間)
ミッション期間 13日間21時間32分
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打上げ
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帰還

当初、米国時間2005年5月22日以降(打上げ可能期間は6月3日まで)を打上げ予定日としておりましたが、外部燃料タンク(ET)から落下する断熱材破片の危険性評価やET追加作業のため、同2005年7月13日以降(打上げ可能期間は7月31日まで)に延期になりました。
日本時間2005年7月14日午前4時51分の打上げに向けてカウントダウン中、約2時間20分前で、外部燃料タンクの液体水素タンク内にある液体水素枯渇センサ(Engine Cut Off Sensor: ECOセンサ)4個のうちひとつに問題が発生したため、再度打上げを延期し、同2005年7月26日午後11時39分に打ち上げられました。

また、2005年8月8日に予定されていた着陸は、フロリダ州ケネディ宇宙センター(KSC)の天候不良のため1日延期され、翌日もKSCの天候が回復しなかったため、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地内NASAドライデン飛行研究センターに着陸しました。
エドワーズ空軍基地への着陸は50回目、うち夜間着陸は6回目となりました。

ISSとの結合および分離日時

結合日時 2005年7月28日午後8時18分(日本時間)
2005年7月28日午前6時18分(米国中部夏時間)
分離日時 2005年8月6日午後4時24分(日本時間)
2005年8月6日午前2時24分(米国中部夏時間)
結合期間 8日間20時間6分
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ISSへ接近
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分離後のISS

船外活動(EVA)

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船外活動を行う野口宇宙飛行士

今回のミッションでは3回の船外活動が行われました。ISS組み立てとしては、ISSから実施したものを含め、通算61回、計368時間21分のEVAを実施したことになります。
参照:ISS関連の船外活動

3回の船外活動は、野口宇宙飛行士とスティーブン・ロビンソン宇宙飛行士によって行われ、予定していた作業は全て完了しました。なお、野口宇宙飛行士はISSで船外活動を行った初めての日本人となりました。

第1回EVA(フライトデイ(FD)5)
開始時刻 日本時間2005年7月30日午後6時46分(米国中部夏時間2005年7月30日午前4時46分)
終了時刻 日本時間2005年7月31日午前1時36分(米国中部夏時間2005年7月30日午前11時36分)
作業時間 6時間50分
主要作業内容
  • NOAX(Non-Oxiden Adhesive Experimental: ノーアックス)と呼ばれる補修材を使用した炭素強化複合材(RCC)の補修試験【ロビンソン宇宙飛行士】。
  • 小型の充填装置(EWA)を使用したタイルの損傷修理試験【野口宇宙飛行士】。
  • S0トラス上のGPSアンテナ交換【野口宇宙飛行士】。
  • 船外保管プラットフォーム2(ESP-2)取り付け作業に向けた、ESP-2取り付け機構(ESPAD)のクエスト(エアロック)外壁への取り付け及びESP-2用電力ケーブルの仮設【ふたり共同】。
  • コントロール・モーメント・ジャイロ-2(CMG-2)の電力配線を切り替え、停止状態から復旧【ロビンソン宇宙飛行士】。
  • ディスカバリー号左舷窓下側のサーマルブランケット剥離部分の撮影【野口宇宙飛行士】。
  • 材料曝露実験装置1、2(MISSE1と2)2個の回収(第3回EVAで予定していた作業の前倒し)【ロビンソン宇宙飛行士】。
 
第2回EVA(フライトデイ(FD)7)
開始時刻 日本時間2005年8月1日午後5時42分(米国中部夏時間2005年8月1日午前3時42分)
終了時刻 日本時間2005年8月2日午前0時56分(米国中部夏時間2005年8月1日午前10時56分)
作業時間 7時間14分
主要作業内容
  • 故障したCMG-1をZ1トラスから外し、新しいCMGと交換【ふたり共同】。
 
第3回EVA(フライトデイ(FD)9)
開始時刻 日本時間2005年8月4日午後5時48分(米国中部夏時間2005年8月4日午前3時48分)
終了時刻 日本時間2005年8月4日午後11時49分(米国中部夏時間2005年8月4日午前9時49分)
作業時間 6時間1分
主要作業内容
  • 「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)で把持され「クエスト」(エアロック)まで運ばれた船外保管プラットフォーム2(ESP-2)をクエストの外壁に取り付け【ふたり共同】。
  • ESP-2から軌道上取り外し可能型グラプル・フィクスチャ(FRGF)を取り外し【ロビンソン宇宙飛行士】。
  • 材料曝露実験装置5(MISSE5)をP6トラス先端に取り付け、展開【野口宇宙飛行士】。
  • ISSとのドッキング前に見つかったディスカバリー号下部前方の耐熱タイル間にはみ出ている2ヵ所の詰め物(gap filler)を手で引き抜き、除去【ロビンソン宇宙飛行士】。

(予定していたS1トラス上のラジエータ回転用モータのコントローラ(Rotary Joint Motor Controller: RJMC)の回収は実施せず。)


船内活動(IVA)

EVAと共に以下の船内活動も行われました。

  • 「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)を用いて、ディスカバリー号のカーゴベイ(貨物室)から多目的補給モジュール(MPLM)を「ユニティ」地球側の共通結合機構に取り付け。
  • MPLM内から補給物資をISSへ移送。
  • ISSの不要品をMPLM内に移送。
  • ディスカバリー号からISS内へ水など補給品を移送。
  • 損傷したRCCの修理方法の検証。
  • TV局、通信社とのインタビューなどの広報活動。
  • 野口宇宙飛行士と小泉総理、中山大臣との交信。

野口宇宙飛行士の活躍

野口宇宙飛行士は、主要任務である船外活動で訓練の成果を遺憾なく発揮し、NASAから高い評価と賞賛を得ました。
また、打上げ時には外部燃料タンクの分離の様子をビデオ撮影しました。8月4日には小泉総理大臣、中山文部科学大臣たちと交信を行ったり、8月7日には、ミッション中に撮影したビデオ映像が届きました。
野口宇宙飛行士の活動状況概略は以下の通りです。

  • 撮影機材の準備や写真・ビデオ撮影(Photo/TV主担当)
    打上げ時には外部燃料タンク分離時の撮影、その他船内でのビデオカメラ撮影等を行いました。
  • 船外活動の主担当(EV1)
    船外活動の主担当として3回の船外活動を行いました。
  • 電子メールや軌道上メッセージ、軌道上記者会見などの広報活動
    打上げ前のケネディ宇宙センターから5回にわたって電子メールを送り、軌道上からも電子メールやビデオ映像を送りました。
    送られた電子メールは、STS-114メールマガジンバックナンバーに掲載しています。
    8月2日には、ISS/STS-114全クルーが参加して共同記者会見が行われました。野口宇宙飛行士は、メディアからの質問にひとつひとつ丁寧に答えました。
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    8月7日には、夏休みを過ごす子ども達に向けたメッセージとしてミッション中に撮影したビデオ映像が届きました。内容は、日本人大リーガーのサインボールを投げたり、CMGを模して紙で作成した飾りを回転させ、自分も回転して見せたり、折り紙で鶴を折ったり、あやとりをしたり、キーボード演奏まで披露しました。最後に50年前のペンシルロケット実機を紹介し、「夢の実現には時間がかかるものであるが、子ども達には夢の実現に向かって頑張って欲しい」とのメッセージを述べました。

主な不具合など

ミッション期間中、次のような不具合などが発生しました。

【打上げ前】

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    ECOセンサ概念図
    7月14日の打上げ約2時間20分前に外部燃料タンク(ET)の液体水素枯渇センサ(ECOセンサ)4系統の内ひとつに不具合が発見され、その対策のため打上げは7月26日に延期されました。徹底的な原因究明を行いましたが明確な故障原因は見つからず、ETに推進剤を充填して打上げ前に実施したECOセンサの試験では異常は生じなかったため問題なしとして打ち上げました。

【打上げ時】

  • 打上げ2.5秒後にハゲタカがETの先端に衝突しましたが、打上げ直後で速度が遅かったため影響はありませんでした。
  • 打上げ66秒後に前脚ドアのタイルの一部が剥離し、チンパネル部(オービタ前方下部)のタイルのギャップフィラー(タイル間の隙間を埋める詰め物)が長さ約15cm高さ約2.3cm突出しました。
  • 打上げから2分7秒後(固体ロケットブースタ分離から2秒後)にETの液体水素配管のPALランプ(整流のための配管カバー傾斜部)の断熱材(約408g)が剥離しました。オービタへの衝突はありませんでしたが、予想以上の大きさの断熱材が脱落したため、再発防止策がとられるまでは、スペースシャトルの打上げは停止され、次回STS-121の打上げは2006年3月4日以降へ延期されました。
  • 飛行2日目の検査でコマンダー側窓の下側のサーマルブランケットが膨れあがっているのが見つかりましたが、地上試験の結果、帰還に影響はないと結論付けられました。
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ETへ衝突したハゲタカ タイル間からはみ出たギャップフィラー 脱落した断熱材 膨れあがったサーマルブランケット
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