多目的補給モジュール(MPLM)最終更新日:2005年4月22日
多目的補給モジュール(Multi-Purpose Logistics Module: MPLM)は、与圧補給品を国際宇宙ステーション(ISS)へ運ぶ輸送モジュールであり、イタリアによって3基が開発されました。3基にはそれぞれ「レオナルド」、「ラファエロ」、「ドナテロ」という愛称が付けられています。STS-114で飛行するのは、2号機の「ラファエロ」で、6Aフライト(2001年4月)、UF-1フライト(2001年12月)に続いて3回目の飛行となります。 MPLMは、スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)に乗せて打ち上げられ、「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)で「ユニティ」下側の共通結合機構(Common Berthing Module: CBM)に結合して、中からクルーがラックや補給品をISS内に搬入します。その後、ISSから回収するものや不要品をMPLMに詰め込んだ後、CBM機構を外して再びスペースシャトルのペイロードベイに積み込み、地球へ帰還します。MPLM内には、最大16台のラックを搭載でき、実験装置としては、材量曝露実験装置(MISSE-5)などが搭載されます。 MPLMの全長は6.8m、外部直径は4.5m、内容積76.4m3(ラック搭載時の内部容積は31.1m3)、構造重量は約4,077kg、荷物を運搬する際の最大搭載重量は、約9,072kgです。MPLMのCBMハッチ開口部は他の与圧モジュールと同様で、縦横1.3m×1.3mあります。これに対して、ドッキング中のスペースシャトル内部から物資を搬入する際に通る「与圧結合アダプター2」(Pressurized Mating Adapter-2: PMA-2)のハッチは内径約60cmしかないため、それ以上の大きさのものは持ち込めません。なお、MPLMの後部には地上作業専用の大きな開口部があり、地上でのラックの搬入/搬出作業時に作業しやすいようになっています。 スペースシャトルが修復不可能な状態になり、シャトルクルーがISSに緊急避難して救難シャトルが来るまでのしばらくの間、生活できるように、MPLM内には緊急用の食料、医薬品、衣服、消耗品などが大量に搭載されます。また、ISS滞在クルー用の食料品・補給品、実験ラック1台、船外活動用の装置などが搭載されます。 MPLMはイタリアが開発しましたが、所有権は米国にあります。これは、米国の実験時間の一部をイタリアに与える代わりにMPLMの開発をイタリアが担当したためです。 |